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《 戦略情報研究所メールニュース Vol.107 平成20年6月18日》

※以下は戦略情報研究所会員向け情報「おほやけ」190号で送信したものです。

※すでにお知らせしておりますように本日筆者イリハム・マハムティ氏が戦略情
報研究所講演会でお話しされます。いつものようにインターネットでの中継(18
:30〜19:30頃)も行いますので参加できない方もインターネットでご覧下さい。

■ウイグルの真実

イリハム・マハムティ(世界ウイグル会議日本エージェント)

 シルクロードで西域といわれる地域は、現在、新疆ウイグル自治区と呼ばれ、
北京政府の統治下にある。この地域は諸族混住地域で、現在13民族が住んでいる
が、オアシスに定住し、農耕や牧畜を生業として平和に暮らしてきたのがウイグ
ル人だ。日本で言えば平安から鎌倉時代にかけてのとき、ウイグル人はウイグル
王国やイスラム系のカラハン王朝を作った。

 ソ連邦の崩壊により、西トルキスタン(パミール高原の西側)と言われる地域
が独立し、カザフスタンやウズベキスタン等5ヶ国が出来た。

 東トルキスタンは、パミール高原の東側で、タクラマカン砂漠の縁辺にある崑
崙山脈や天山山脈、現在、北新疆といわれるジュンガル部が含まれている。ジュ
ンガル部にはアルタイ山脈があり、三つの山脈が横たわる、広大な地域がウイグ
ル人の故地である。日本の約5倍近く面積がある。この地域では石油や希少金属
等が埋蔵され、石油は現在大量に内陸(漢土)に運ばれている。

 少し歴史をたどると、モンゴルのジンギスハーンがユーラシア大陸の大半を支
配したときは、その配下に入り大いに協力した。満州族が漢土に入り清王朝を立
てたとき、「新疆には七城あり」と言われたように、クムル(ハミ)には王国が
あり朝貢をしていた。清朝には間接的な支配を受け、王国のないところではベキ
と呼ばれる土地の有力者が、徴税権や裁判権を持って統治に協力をしていたので
ある。

 1907年、日本の参謀本部が派遣した軍人・日野強が1年数ヶ月かけて新疆地区
を詳しく調査している。そのときの調査報告書「イリ紀行」によると、ウイグル
人の思いは、清朝政府に統治されている意識が薄いと報告しており、イスラム人
であるから心はメッカに向き、同属であるトルコの帝王の傘下にあると考えてい
るようだとしている。

 辛亥革命やロシア革命があり、この地域の諸族は世界の影響を受けはじめ、1930
年以降、ウイグル人も目覚めることが出来た。近代に入り、ウイグル地域(東ト
ルキスタン)のどのように推移したのであろうか。清王朝崩壊を受け国民党がこ
の地域に入り、ウイグル民族への弾圧がはじまった。その結果1932年クムル(ハ
ミ)で農民蜂起が起きている。この蜂起は東トルキスタンに波及している。

 1933年カシュガル地区で「東トルキスタンイスラム共和国」の旗が揚がる。半
年あまりで潰えるが、そのときの指導者10名が日本に亡命を求めて来日している
。国民党は残った指導者を殺害し、教師や作家、詩人、宗教家や愛国者などを弾
圧した。なお1938年カシュガル市で収監されていた数百人を射殺、死体にガソリ
ンをかけて焼却したのだ。

 1944年、北新疆の三区で独立運動が起こり、ソ連の後ろ盾があって「東トルキ
スタン共和国」が成立した。約2年半独立を保ち得たが、ソ連に手を退かれ、大
国の思惑の取引からウイグル人達の夢は潰され、1949年ウイグル人指導者アフメ
トジャンはモスクワの刑務所で殺された。1951年、革命家であり英雄のオスマン
・バトゥル(カザフ人)は中国共産党によって、ウルムチ市中を引き回され刑場
で銃殺された。

 1949年、国民党に代わり中国共産党が東トルキスタンに入って来た。この当時
、新疆の全体の人口は、ウイグル人は400万程度とされている。カザフ人や、モン
ゴル人、キルギス人等諸族加えても500万人程度である。漢人は20万人ほどで、現
在700万人以上の漢人数を見れば、ウイグル人の故地は植民地化とされたと言って
も過言ではない。新疆ウイグル自治区はもっと複雑になった。日本が明治維新後
、北海道に屯田兵を送ったように、兵団を送り込んだ。兵団が残っているのは新
疆だけであるが、北新疆には兵団の都市が発達している。石河市や精河市等がそ
れである。兵団は人民軍とは別立ての組織だ。中国共産党は巧妙に新疆を支配し
、ウイグル人を新疆の片隅に追いやっているのである。国境地区に張り付く漢人
の軍隊の数は分からない。恐らく50万人を超えるのではないか。

 1955年、新疆ウイグル自治区が成立している。グルジャ(イリ)、チョチェッ
ク(ターチュン)で中国共産党による独立派「東トルキスタン人民革命党」への
弾圧があり数万人が虐殺された。アクス地区でウイグル人が蜂起し鎮圧された。
共産党北京政府によるアクス人民武装グループへの拷問・殺害が行われた。ホー
タンではゲリラが蜂起し、ホータン地区地下組織「東トルキスタン連合」が成立
した。しかし武装蜂起は失敗、同じように弾圧・虐殺がおこなわれた。

 今年8月には、北京でオリンピックが開催される。北京政府が目論んだ世界を巡
る聖火リレーでは、見事にそのプロパカンダが馬脚を現した。チベット人のデモ
により、チベット自治区の実態がさらけ出され、ウイグル自治区やモンゴル自治
区を含め、人権無視の統治の仕方が、世界の人々に認識されたのである。

 新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)の現状を詳しく述べることにしよう。
ウイグル人は100%イスラムである。共産党の憲法には信教の自由がうたわれてい
るが、それは実践されていない。若者はモスクに行くことは禁止されている。定
年退職した人が礼拝を許されている程度だ。人間として心を養い、人格を磨く場
であるモスクでの礼拝が許されていないことは、ウイグル人の基本的人権を奪っ
ていると言える。北京政府は全く徳のかけらも無い統治を行っているのである。

 西域・シルクロードにはロマンなどは無い。日本の方々はシルクロードの名前
に限りなく愛着を持っている。それは仏教東漸のルートであるからである。かの
井上靖の小説で有名な楼蘭地区ではなにが行われきたか、それは核実験である。
西に風が吹く日に行われた核実験は50回近くになる。そのためウイグル人ばかり
でなく天山山脈の南側、天山南路での被害が多い。奇形児が生まれ人々はガンで
苦しんでいる。この状況をイギリスのBBCのクルーが命がけで調査し報告して
いる。

 今世紀に入り江沢民政府の時代、西部大開発が計画され、現在も行われている
。北京政府は貧困の解消などと政治的宣伝をしているが、おもな狙いは油田の開
発である。タクラマカン砂漠の真ん中に道路を作り、またタクラマカン砂漠を一
周する道路も建設されている。これらの工事にはウイグル人は1人も働かせてい
ない。新疆ウイグル自治区の書記である王楽泉は江沢民派であるが、新疆に十数
年居座り、おのれが出身である山東省から企業招聘し、労働者もつれて来ている
。それらの人々がまた東トルキスタンに居座るのだ。ウイグル人が貧困に喘ぐ理
由がここにもある。

 中華帝国主義はウイグル人をはじめ各民族を滅ぼそうとしている。20世紀に人
類は二度の世界大戦を経験した。その結果、民主主義による国家建設や民族自決
が、人類に平和をもたらすことが出来ると信じ、人権問題解決を一つの理想とす
ることを掲げた。21世紀に入っても、なお中国共産党政権は、人類の理想から遠
い政策を行っている。

 人間にとって文化は一番大切なものである。言葉や文字を教え、子供を育てる
教育などは民族の固有の文化あればこそ出来ることだ。共産党の思想は自己中心
的な普遍性を理由に、それらを奪おうとしている。漢人が生み出した儒教の精神
である「仁」や「義」、「礼」などは、どこに行ってしまったのであろうか。全
く徳の無い政治を行っているのである。

 ここで声を上げなければ、ウイグル人はなくなるであろう。チベットにしても
同じことだ。既に内モンゴル自治区においては同化政策が成功し、モンゴル人の
立場は無い。日本人にも理解してもらいたい。中華帝国主義・共産党政府には気
をつけなければ、このたび長野において、フリーチベットフリーウイグルの声が
聞こえたが、フリージャパンと叫ばなければならなくなるかもしれない。(2008.6.9


イリハム・マハムティ氏
1969年新彊ウイグル自治区生まれ。新彊大学予備学部入学。1991年4月西北師範大
学中国文学部を中退後、2001年留学のため来日。ウイグルの人権問題解決に向け
た運動を始める。

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《 戦略情報研究所メールニュース Vol.106 平成20年6月5日》

※以下は戦略情報研究所会員向け情報「おほやけ」189号で送信したものです。

■戦略情報研究所講演会のご案内

 次回の戦略情報研究所講演会は下記の通り開催されます。参加出来ない方もインターネットでの生中継を行う予定です。ぜひご覧下さい。

1、日程 6月18日(水)18:30〜20:30
 冒頭約1時間の講演を(株)NetLiveのご協力でインターネット中継します。後半はフロアの参加者との質疑応答になります。

2、場所 UIゼンセン会館2階会議室(千代田区九段南4-8-16 tel03-3288-3549)
 ※市ケ谷駅下車3分 日本棋院斜向い (地図は下記をご覧下さい)。
http://www.uizensen.or.jp/doc/uizensen/access.html

3、講師 イリハム・マハムティ氏(世界ウイグル会議日本エージェント)

4、テーマ「ウイグルの真実」
※東トルキスタン(新彊ウイグル自治区)に対する中国共産党政権の弾圧の実態、外国人が見ることのできない現実についてお話しいただきます。

5、参加費 2000円(戦略情報研究所会員は無料)。

6 参加申し込み
 事前のお申し込みは不用です。そのまま会場においで下さい。

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《 戦略情報研究所メールニュース Vol.105 平成20年5月1日》

※以下は戦略情報研究所会員向け情報「おほやけ」186号で送信したものです。

■金正日の最近の動向と後継者問題

   高ヨンチョル(ユーラシア21研究所・JFSS 客員研究員)

【金正日の最近の動向】

 2006年のミサイル乱射と核実験は「自主国防」が整い、今後「改革開放」路線に踏み切るターニング・ポイントであったとの予測があった。「先軍政治」の一段落との見方もあった。現在金正日は改革開放政策を呼び掛けるテクノクラット(技術官僚)及びビューロクラット(一般官僚)に囲まれている。しかし、改革にブレーキを掛ける軍部との間でサンドイッチ状態が続いている。金総書記は、中国式の経済改革を導入したい。しかし、自分の体制を支えてくれる軍部の顔色を見なければな らない。
 経済改革と言う巨大な利権を一般官僚に一任したら、軍部の存在価値がなくなり、大掛かりなリストラで軍部の不平不満が爆発し、クーデターが発生する恐れがある。軍部と官僚との間で選択の悩みに陥った金正日は毎日のように酒を飲み過ぎ、健康状態が悪くなっている。(情報の出処:これまでの動向情報と関連資料分析に基づいた本人の情報判断)

【金正日の後継者問題】

 暗殺か病気でなくなる場合、いつか、訪れるべき、後継者の優先順位としては、羽田空港で強制送還された長男、金正男が現在、労働党の組織部副部長として有力視されている(金正日も最初の肩書きは労働党の組織部副部長だった)。

 朝鮮総連出身の高永姫との間に生まれた金正哲と金正雲は20代の若さであり、肩書きもないので後継者になる可能性は低いと思われる。3番目の候補としては、金正日の義弟である張成澤だが、血族でないから北朝鮮住民は認めないと思う。

 暗殺か病気で金正日が亡くなれば、後継者をめぐって権力闘争が発生するのは必至である。その時、「市民グループ;CivilianPower」と「政治グループ;PoliticalGroup」と「軍部グループ;Arms Power」と言う3大勢力が激しく衝突すれば、軍部が権力を握る可能性が高い。「権力は銃口から生まれる」と毛沢東が言う通りである。その時、軍部のリーダーが後継者に就任するのは、北朝鮮社会では難しい。なぜなら、北朝鮮は、儒教の国として無くなった金日成が生きた神様として精神的な柱となっていることから、血族でないと統治はできないからだ。従って、軍
部が血族を擁立する場合、金正日の異腹弟である金平日を擁立する可能性が高い。

 金平日は18年間軍部経験を持っており、退官後、兄金正日の強力なライバルとして嫌がらせを受け、フィンランド大使をはじめ現在、ポーランド大使を務めている。長い海外生活で英語も得意で欧米の洗練された考え方の持ち主として人物、品格が優れている。最近は、金正日に嘆願書を出して兄の配慮で年内に北朝鮮入りする予定であり、長女が北朝鮮軍部の高官の息子と結婚予定であるという情報もある。
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『北朝鮮特殊部隊白頭山3号作戦』(講談社・1575円)

『国家情報戦略』(佐藤優氏との共著・講談社文庫 840円)

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